おはようございます。続きです。
感情が下す判断は、論理的な結論ではなく、過去がモノを言うのです。
一つ目は、遺伝的なプログラム。食べ物があまりに苦い時、まずいと思うコトによって、毒から未然に防いでくれるのです。命を危険にさらすようなものに対しては、自動的に嫌悪感を抱くように作られているからです。
もう一つは経験です。意識よりも脳の情動システムの方にはるかにたくさん蓄えられています。しばしば情動は何千もの思考よりもモノを言います。火のついたライターが近付いている時、それに触ったらどうなるかを、じっくりと考える人は居ないように‥‥
一般的に幸せより不幸せを強く意識するのは、このタメだそうです。
神経心理学の実験で、楽しげな写真よりも悲しそうな写真により強く反応するのは、脳波が示しています。人間は悲劇を選ぶように作られているのです。
何故なら、恐怖や悲しみ、怒りが先立つからこそ、我々の祖先は茂みで音がすれば、せっかくの獲物を放り出しても安全な場所に逃げたから生き延びられたのです。
つまり、人間は幸せよりも不幸せを敏感に感じるようにできてます。進化によるこの特質は、危険な時に必要不可欠とはいえ、数々の悲劇を生んでいます。
というわけで、不幸せは黙っていてもやってきますが、幸せを手に入れるためには努力が必要なのです。恐れや怒り、悲しみが外界の危険に対する反応であるのに対し、嬉しさや気持ちの良さは、生き延びるために必要な状態に私たちを誘いこもうとして自然が用意したものだからです。
古代ギリシャの思想家、アリストテレスの言葉です。
幸せは行為の結果である。幸せは偶然や神の贈り物ではなく、自分の可能性を最大限に活用した人に与えられる。賢い人間は自らの素質と与えられた条件の下で最高のものを作り出す。そのような積極的な人生に歓びと満足の秘訣がある。