2007年04月29日

そして、支配は進められる

昨夜の続きです。本の中から、抜粋してみましょう。(省庁名は本文当時のママ)

日本は無階級社会だと言われています。‥‥しかし、日本も国家組織であるかぎり、一部の者が支配層となり、他の一般民衆を支配するという形態をとらざるを得ません。‥‥日本では大学が選別の役割を担っています。‥‥人々は大学でどれほど勉強したか、どれほど知識や技術を身につけたか、どれほど人格を磨いたか、どれほど思想を深めたかによってではなく、どの大学を出たかに等級づけられます。

友人の外務官僚が彼の友人の文部官僚のことをえらく褒めて‥‥「あいつは教育に熱意をもっていて、わざわざ文部省に入ったんだ。立派な人だ」と。‥‥あとから知ったことですが、文部省は大蔵省など他の省庁にゆけなかった落ちこぼれがゆくところだそうです。だからこそ、望めば他の省庁にゆけた‥‥友人をこの外務官僚は褒めたのでした。

この点から、なぜ文部官僚が東大を頂点とする大学の階級組織を必死に維持しようとするかが理解できます。いわば彼らは東大出身の高級官僚のなかのプア・ホワイトなのです。(‥‥集団のメカニズムによって、この種の集団では下位の者は上位の者の価値体系を知らず知らずのうちに身につけてしまいます‥‥)黒人への偏見がもっとも強く、白人の特権をもっとも熱心に守ろうとするのがプア・ホワイトであることはよく知られています。同様に、文部官僚は、大蔵省や通産省や外務省などの官僚よりも東大出の高級官僚の特権維持に熱心なのです。‥‥高級官僚の特権が失われれば、それをまっ先に失うのは高級官僚のなかの最下層の自分たちですから。‥‥一流大学の教師が「われわれは全然そう思っていないのに、文部省の役人のほうはわれわれを同じ世界に属する同僚だと思っているらしい」とおかしがっていました。自分たちが、一流大学の教師たちとともに、日本の教育を支えているつもりになっているのではないかと想像されます。これは、金持ちの白人はプア・ホワイトなんか全然仲間と思っていないのに、プア・ホワイトは自分たちを金持ちの白人と同じように白人の仲間だと思っているという図と似ています。

この考えを読んで、下流社会の中に共通する部分があったコトを思い出しました。前にも書きましたが、本屋で全文立ち読みしただけなので深くは覚えていませんが、「下流社会の人々こそが、自民党の価値体系を支持している」という手のコトが書かれていたハズです。

「黒人への偏見がもっとも強く、白人の特権をもっとも熱心に守ろうとするのがプア・ホワイトであることはよく知られています。」という部分の黒人を外国人、白人を日本人と置き換えると、いわゆる現代の「新興右翼」の方々と共通しているかもしれません。ともあれ、本論の母性本能に関する部分には、まだ到達出来ていません。時間がナイので、今回もこの辺で。
人気blogランキングへ←応援よろしくお願いいたします

この記事へのトラックバックURL

この記事へのコメント
大学のブランド思考はいまだに根強いですからね、一般の人もけっこういるんでしょう。
俺の親父なんか「頭いい=大学出身」ですから^^;

文部省は落ちこぼれの行くとこでもあったんですか。。
Posted by 小太郎 at 2007年04月29日 20:35
小太郎さん、ちょっと驚きでしょ。

ともあれ、大学時代に天下のK大生という超ブランド一流大学の面々と、サークル関係で交流しておりましたので、微かに自分のブランドをひけらかさない立派な人々は存在するものの、大半の方々は「ボク、K大」という札を首からぶら下げているの? という人がとっても多くて、お相手するのに疲れました。

ワタシの学歴信仰は、大学時代に見事に打ち砕かれました。ほんの少しの人々は、尊敬するに値するかも? という感じではありましたが、ブランドだけの人も多いので、人柄を見分けなくてはイケナイと、しっかり思わせてくれました。

野に在っても、立派な人は立派だと思います。
Posted by koyuri at 2007年04月29日 21:04
 
にほんブログ村 健康ブログへ