かなり前に「黒い家」について書いたけど、実際にそんなコトは現実にあるのを実感させる保険金殺人はあるし、政治家は政治家で問題は絶えないし、「なんだかなぁ」という毎日が延々と続いているかの日々に、梅雨の時期が重なって、何となく晴れ晴れしない日が続いておりますが、考えてみれば「黒い家」もホラー大賞を受賞したんだった。現実の方がリアルに怖ろしいのだと思い返してもみる毎日だったりします。
ちなみに、天邪鬼なワタシは「ナントカ賞」とか「ベストセラー」と聞くと、読みたくなるのではナク、逆にほとぼりが冷めたコロ読もうと思ってしまうタチなので、新作をあまり追い掛けないのですが、そうさせた原因の御一人の小説を本当に何十年振りかで読んでみました。(週刊誌や月刊誌に連載されている時には、時間がある時にその回だけ読んだというコトはあるんだけれど、頭から読んでみようという気にはなれなかったホド、初回のインパクトが強かったのでしょうね)
希望の国のエクソダス
話題になっていたコトは知ってましたが、ネットをほんの少しだけは理解した今になって読んだから良かったのかもなんて思います。
ともあれ、全共闘世代の世渡り上手な人達の多くが、完璧な右へと傾斜し、過去を忘れてはしゃいでいる人々の多い中で(警察から逃げ回って、何軒もの家に匿われていた人が今や副都知事になろうという時代でもありますし)、ある意味作家を続けているコトに敬意の念があり、しかもテーマに「連帯」というキーワードを持って来たコトに、少々驚いたり、ある種の感動があったりします。
小説の中で素性を暴露された人々の中で、「どの人選が一番よかったか?」と聞かれた時の答えの中で、
中年の作家の名前を言った。ほとんど作品らしい作品など書いていないくせに、ことさらにエイズ患者へのボランティア活動や環境破壊に抗議する市民運動を続けている奴だった。おれはそいつが嫌いだった。作家ならまず作品で訴えるべきだし、ぼくは社会的に立派なことをしてるんです、というその顔が我慢できなかった。
と書いてますから、作家であろうとする覚悟のホドを知りましたが、ともあれ、作家というのは厳しいモノで、歌手なら一発屋でも、ナントカしのいでいけるかもしれませんが、話題作が何作も続く作家はそんなにイナイですからね。その後をどうシノグか。
ともあれ、市民活動してる位ならカワイイものだと思いますが、少々モノを知ってるというダケで、本当に世の中を知っているかどうかも不明なのに、平気で世の中を動かそうとする輩がとっても多く、政策立案などに顔を出すモノの、大したコトはナクて、肩書きはイイから、そこらで世の中の辛酸を舐めている人々を何人か連れて来て、その人を反面教師としてでも、世の中を良くする提言をして貰った方が大変有益ではないかとすら思うコトがママあり、そういう意味でもネットの可能性は存在意義があるのだろうと思ったりします。