2007年10月01日

健康には富も必要

いよいよ今日から郵政民営化になりましたが、果たして前評判通りに便利になるのか?、それとも不便になるのか?

おそらく後者になるだろうというのが、ワタシの意見なのですが、どうしてグローバリゼーションというものは、改革と呼ばれつつ改悪になりやすいのかというコトについて、実に明快に教えてくれる本を読みました。
世界を不幸にしたグローバリズムの正体
著者は2001年のノーベル経済学賞受賞者。世界銀行の上級副総裁兼チーフ・エコノミストを勤めた人物なのだが、国際通貨基金(IMF)が押しつけた貿易の自由化や民営化、グローバリズムの考え方に異議を唱えた本だ。

かなり難しい本なのだが、この部分を読んだだけで、グローバリズムが世界に何をもたらしているのかが、簡単に理解出来るだろう。
貿易の自由化は成長をうながすかもしれないが、それと同時に職を失う労働者がでて、少なくとも短期的には貧困が拡大するだろう。場合によっては、さして成長もしていないのに不平等だけが大きくなる「両損」政策もある。多くの国にとって、その一例は資本市場の自由化だろう。成長か貧困かという議論は、言わば開発戦略についての議論だ。その戦略に求められるのは、成長を促進しながら貧困を軽減する政策を見つけること、たいして成長しないのに貧困ばかりが増す政策を避けること、そして代償がどうしても必要な場合には貧困層への影響を重視することである。

それぞれの選択肢を理解するには、貧困の原因と本質を理解していなければならない。貧困層が怠惰なわけではない。貧困層は富裕層よりも長時間、身を粉にして働いている。彼らの多くは悪循環におちいっているのだ。食料がないから健康に支障をきたし、健康でないから稼ぎが十分に得られず、稼ぎがないからまた健康が損われていく。生きていくのにぎりぎりの生活だから、子供を学校にやれず、教育のない子供は生涯にわたって貧乏でいることを運命づけられる。貧困は世代から世代へと受け継がれる。貧しい農民は肥料も多産な種子が買えないから生産性がいつまでも高まらない。
この話は別に日本について書かれたものではナイのだが、北九州市で生活保護を打ち切られて死亡した男性のコトを思い出させる話ではないか。

ネットカフェで寝泊りしなければならない若者やフリーターと呼ばれる人々、リストラされて困っている人々を思う時、日本もこのグローバリゼーションというものは、素晴らしい改革と呼ばれて、世の中を一世風靡したものの改悪になってしまっている現状の説明になっている。

「市場万能主義」という言葉で、済まされるホド世の中は単純ではナイというコトだ。「成長を促進しながら貧困を軽減する政策」、「たいして成長しないのに貧困ばかりが増す政策を避ける」、そして「代償がどうしても必要な場合には貧困層への影響を重視する」というどれ一つをも日本の政策が目指しただろうか?

おそらく、グローバリズムによって、経済が悪化する典型が「郵政民営化」によってもたらされるのではないかというのが、考えられる最悪のシナリオだったりするのだが、この予想だけは外れることを祈りたい。
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この記事へのコメント
民営化したからよくなるというものじゃないですからねー。
郵政民営化の結果が著しく悪くならず不便に終わらないことを願いますが、マスコミが短期間でどうこう言って大きな問題にしてまた戻して・・っていうことが一番怖いです。
多くはうやむやですけど稀にありますからね^^;
Posted by 小太郎 at 2007年10月02日 15:15
小太郎さん、国鉄が民営化されて良かったコトは、社員の態度が良くなったコトくらいで、国有財産だったものはJRのものになりました。

おまけに赤字は国民が負担。これ以上赤字にならないだけマシだろうという話で。とても、株券を売った代金では、穴埋め出来ない額でした。

郵政は赤字じゃなかったのに、財産は民営会社のモノになりました。ものスゴイ預金と共に。

僻地の郵便事情は悪化するコトは目に見えています。それでも、全国均一サービスを続けられるのか、かなり疑問です。幾つかのの郵便局は廃止されていますし、郵便局だけが頼りのお年寄りが一番ダメージを受けるでしょうね。
Posted by koyuri at 2007年10月02日 20:24
 
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