毎日、エンターティメントの小説を読んでは鋭気を養っている毎日だが、最近はブログに書くコトが減少している。というのも、「ネタバレ」されたくナイ人が多いだろうし、どう書いていいかなどと考えて読むとちっとも楽しくナイからだ。
コンスタントに毎日、読書は欠かしてナイのだが。本日の小説は、久々にストーリーと離れた話題がしやすい本だったので。
風の盆幻想
ミステリというジャンルにこだわると、イマイチかもしれないが、それなりに謎解きが楽しめる。
一番引っ掛かったのが、伝統的なモノと現実の折り合いの付け方について。おそらく著者が軽井沢に住んでいるので、マンション開発されて行く現状とも、リンクされているのかもしれないが、「村おこし」とか「町おこし」と言えば聞こえはイイが、結局、伝統や自然よりもソレを元に一儲けといったコトと同意義だったりする。
長野県の有名観光地である志賀高原も、昔とちがって客足も減少し、倒産するホテルなども出て来て、いよいよ地元の人間しか土地を利用出来ないという条件を変更せざるを得ない事態になったと地元の「信濃毎日新聞」が報じていたのだが、結局その決断をさせたのは、地元の金融機関だったらしい。
オリンピックとバブルが同時進行していたので、過剰融資になって困っている金融機関は多く、このまま共倒れになるコトを避けたのであろう。
あの辺の農協がヨレヨレなのは、地元では有名な話だし。とにかく、「無いものはナイ」と開き直られてしまうと、取り立てるコトは難しい。おそらく、抵当を売却したとしても、回収出来るのはほんの少しだろうけど、買い手を地元に求めたら、おそらく回収ゼロになるに違いない。
未だに、金融機関にはバブル崩壊から引き続いている不良債権は腐るホド在るに違いない。観光業というモノは、余裕があってこそなのだから、今みたいに不況になるとどんな手を使ってでも金儲けにしなくてはナラナイのだろうなと、「風の盆」が世俗化して行く記述に、多くの日本の観光地が抱える問題が、オーバーラップして見えた。