今まで読んだ宗教の事件に関する本の中で、一番感銘を受けた本かもしれません。
宗教事件の内側―精神を呪縛される人びと
どうして、オウム真理教の幹部の人々は殺人をするコトが簡単に出来る様になってしまったのか。その洗脳の過程が克明に描かれています。
統一教会にどうして、一億を超えるお金をつぎ込んでしまったのかとか、セミナーや教団が一般の人々の心の隙間にどうやって入り込み、お布施という形以外にもありとあらゆる形で集金するシステムになっているのかを順序立てて書いてあるので、入信した人々は自分とは全く無関係だと思っている人にとっても、人生のエア・ポケットでうっかり近付かれたら思わず、取りこまれてしまうかもという用心をするタメに、一読しておいた方がイイかも。
死んだ人を蘇生させるなどという事件も数多くありましたが、それらもやはり狂信というか、妄信のなせるワザ。
生死という感覚を、曖昧にされ超えるべきではナイ一線を簡単に踏み越えてしまうのかもしれません。
そういう意味では、究極の恋愛小説である
親指の恋人
こちらと好対照かも。要するに、自分という存在を神に投影するのか、恋人に投影するのかの違いだけで。
ともあれ、他人に自分を同一視することの危険性とその魔力をどちらも全く別の形で描いてます。
地に足を付けて歩こうとしないと、足元をすくわれるのだなというコトを双方の本で思いました。同じ日に読む本にしては、真逆そうでいて、結果は根が一緒だったという感じがしました。