イヤだなぁと思う様な事件が続いてます。例えば、大家の弟と仲が悪くて大家と弟夫婦三人を殺した事件とか、酒に酔って水知らずの女性に抱き付いて一緒にホームに落とした殺人未遂事件とか‥‥二件とも、殺意を否認してますが。
そういう事件も、既に裁判員制度の受け持つ事件になっています。なので、ケース・スタディとしてこちらの本が最適かと。
暗闇のヒミコと
著者の朔立木さんは、司法関係者というコト以外は全く素性が明かされてませんでしたが、初めてこの本で著名な弁護士なのだというコトだけは、知るコトが出来ました。
ともあれ、以前に起きた保険金殺人で何度もスナックで会見を開いた全ての殺人事件の黒幕と呼ばれた男性のコトや、秋田での連続児童殺傷事件の女性がオーバーラップして、読めそうな小説なのですが。
超高級老人ホームで起きた傷害事件と、二人の老人の殺害事件。最初は老人達の死は、事故だはないかと思われていたのに、疑惑の女性がスナックを開店するという派手なパフォーマンスをしたが故に、疑惑がとても大きく拡大して行って。
彼女を守ろうとする勢力がネットで増大したりするので、マスマス劇場型犯罪になり、それを取材しようとする新聞記者やら、フリーのルポライターなどが複雑に絡み合ってという展開なのですが‥‥
果たして、真実はドコに存在するのか。
こういう事件をジャッジするのは、とても大変なコトだと思いました。検察側も、裁判官の傾向を読んで、一審と二審では戦術を変更して来ますし、弁護士も様々な手段を弄しますし‥‥
無罪か有罪かで別れる人間の運命。少なくとも、この著者の「完璧な冤罪」を描いた小説(「死亡推定時刻」)よりは、ズッと読後感は重くナイのですが、事件を裁くのがプロの人達ではナク、素人も混じるというコトになると、より現実的に『正確なジャッジなど可能なのだろうか』と恐ろしい気持ちになります。
裁判というのは、奥がとても深く闇の中にある場合も、かなり多いのだろうと思いました。