2009年10月07日

卑弥呼と邪馬台国

ミステリー作家の多くが心そそられるのが、やはり邪馬台国なのだとは思うけれど、史実的考証とミステリーとが並び立つというのは、中々難しいもので。

卑弥呼の殺人 (ハルキ・ノベルス)卑弥呼の殺人 (ハルキ・ノベルス)

ともあれ、流石に教師をしてらっしゃるだけあって、邪馬台国に関する分析は緻密。残念ながら、ミステリーとしては、あまり押さないけれど、歴史の考証に関しては、かなり秀逸。

昨今の考古学者の近畿地方こそ邪馬台国、一辺倒の考え方に対する否定は素晴らしい。

邪馬台国を治めた卑弥呼が、今の天皇家の祖先であるならば、記紀での記述はあまりに変なのは、誰でも理解出来るだろうに。

万世一系などに捉われるから、歴史が変節されてしまう。

とにかく、全国統一を早くした国が偉いワケでも何でもナク、正しい歴史を知り、ソレを現在に応用して、未来に活かすというコトが、歴史を学ぶ最大の意義であるべきなのに‥‥

ドコが邪馬台国なのかという説は、この本を読んで頂くとかなり判りやすいので置いておくとして、少なくとも、個人的には、邪馬台国が九州の何処かにあったというコトは、かなり昔から事実だと思っているし、何冊本を読んでも、新聞に書かれた記事を読んでも、ソレがゆらぐコトは全くナイし、おそらく卑弥呼の末裔は現在の天皇家に滅ぼされた一族であり、天皇家自身も何度かの勢力争いに巻き込まれているのは自明の理。

タダ、日本的なのは滅ぼした一族と完全対立するのは得策ではナイとして、大体、その娘を征服した男の妻として、滅ぼした一族を支配下に置くという技を使うので、複雑な血縁関係になるのだが。

ともあれ、今までの邪馬台国に対する様々な説を整理しているので、ミステリーと思って読むよりも、邪馬台国入門書として読んで、自分だったら、どう古代史を推理するかと考えれば、楽しい一冊だと思う。
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