昨日の映画は映画として、現実的にはほんの一握りだけが自由になれるという現実では困るなと思いつつ、この本を読んだら「暴力飯場」についての詳細が書かれていた。
派遣村 国を動かした6日間
そのダマしの手口とは、「給与は三〇万円で二ヵ月、建設現場で働いてみないか」と声を掛けられ、誘いに乗って群馬県の山中に行くと、プレハブの宿舎で、布団代、毛布代、食事代、家賃で一日に一万三〇〇〇円が日給から引かれるシステムになっているそうだ。
しかも、最初の内は仕事が割り振られず、待機の日が多く、日々引かれる生活費によって、あっという間に借金が出来て、借金返済のために飯場への滞在が長くなり、一月や二月では帰れなくなる。借金が増え始めてから、初めて仕事が入るのだそうだ。しかも、山奥なのを良いことに、缶ビールの小さいのが一本五〇〇円、タバコも一箱五〇〇円以上。仕事を割り振られずに日々を送っていると、一〇万、二〇万円の借金がすぐ出来る。途中で脱走を試みて失敗し、リンチにあう若者も居るという。
現実は、小説より奇なりとは言うものの、本当に悪いコトを考える人は、浜の真砂が尽きるとも無くなるコトはナイ様だ。
ともあれ、今年、政権交代が可能になったのは、「年越し派遣村」みたいなコトが在って、「格差問題が日本に存在する」という事実をビジュアルに日本人が感じとったからかもしれないとすら思う。
ダマされた人が悪いという社会が続く限り、人間、真面目に生きるのが馬鹿らしくなってしまう。
今年の年末は、「派遣村」が無くても生きられる社会になっているだろうか。そろそろ、年末が近づいて来る。
政権が代わって良かったのかどうかの、最初のハードルが見え出したのかもしれないと思った。