トラウマを心に抱えてしまうと、中々それを捨てるコトは難しい。
虐待の連鎖というコトもあり、逃れようとしつつ、問題のありそうな相手に魅かれてしまうというコトはある。
でも、鎖は決して千切れないものではナイという希望を与えてくれる小説がこちら。
後半、登場する長期記憶が出来なくなって大学を辞した教授の話が、この小説の奥行きを深くしている。
それが無ければ、下手をすると薄っぺらい話になりそうなのに、逆に考えさせられる話へと変えられ、読後感が全く違った印象になっている。
人は、過去を変えるコトは出来ないが、過去に縛られて生きる必要はナイ。
我々は生きるのは、今だけであり、やがて来る未来なのだというコトを教えてくれる一冊。