日本のニュースというのは、自国に無関係だとあまり報道されないけれども、山中教授のノーベル賞の前年、亡くなった三日後に、ノーベル賞を受賞したスタインマン博士なる人物が存在したという。
「故人には授与しない」という規定はあるけれども、「受賞決定後に本人が死去した場合はその受賞を取り消さない」とされた最初の人物が見つけたモノこそ、樹状細胞の研究などという話が書かれているのが、こちらの本。
樹状細胞と呼ばれる細胞が、 免疫細胞をまとめあげ、「免疫力」を決定づけていて、スタインマン博士は、膵臓がんになりながら、自身が開発したがんワクチンを自分自身に投与して闘病してたのだとか。
膵臓がんは五人に一人は一年以内に亡くなり、五年間生存率はたったの五%なのに、既にリンパ節まで転移していたのに、四年以上膵臓がんと戦いつづけたとのコト。
受賞したのは、「がんの情報を樹状細胞に与えて、免疫の働きを高める」という研究ゆえでした。
ともあれ、がん細胞は高温に弱いという話を、数日前に書いたかと思いますが、その話を御客様にしたら、親戚の方の中に、「睾丸をがんに冒された方がいらっしゃったのだけれど、インフルエンザになって、高熱が出たらがんが消滅した」という稀有な体験談を聞かせて下さいました。
この本の中に、妊娠中の女性の胎盤や胎児、眼球など、「免疫力がおよばない場所」がいくつかあり、男性の精巣(睾丸)もその一つであり、一度ウイルスなどに感染してしまうと非常に脆弱な部分なのだとか。
しかし、その御蔭でがんが消失したと思えば、実に人体は神秘的。
正に、「事実は小説より奇なり」と言うけれども、世の中には本よりもビックリする様な話が存在してますね。