運命なのかもしれないが、時代の変遷に立ち会うと、色々な困難が降り掛かる。
伝記というのは、それだからこそ面白いのかもしれないけれども、波瀾万丈な人生というのも大変そう。
タダ、この本は人に薦められなければ読まなかったと思うので、そういう意味でも、本にも出会うべくして出会うのかもしれない。
現代にも名前だけは残っているけれども、ホトンド知られてナイ存在があるとは。
「咳声喉に浅田飴」というキャッチフレーズで有名なのど飴は、この本の主人公が働いていた人に、造り方を教えて出来上がり、その名声ゆえに売れたのだという。
スペイン風邪の流行時には、完売に次ぐ完売だったそうだ。
江戸時代に将軍の侍医だったのだが、明治維新になり世の中が全て洋式になる風潮の中で、漢方医が廃れて行ったのだけれども、大正天皇が健やかに育ったのは、主人公の腕あればこそ。
西洋医が、何人も失敗したので、呼ばれたというのだから、無理やりに西洋医学一辺倒にして、そうした漢方の系譜がチャンと残されなかったというのは、現代に於いてもかなりの損失だろう。
人は、時代の流れに翻弄されて生きるものだというコトを改めて感じた一冊。