ミステリーの醍醐味は、作者との知恵比べ。
伏線もチャンと書き込んであるという、ミステリーの規範を踏襲している作品なのに、つい最後までダマされてしまった、傑作がこちら。
かなり辛い結末にはなっているのですが、微かな希望の種も残されていて、単なる謎解きミステリーにはなってナイのが、素晴らしい。
この著者の本の中では、かなり上位ランクではないかと。
この本の扱うテーマが、レイプ事件。
少なくとも、この手の本を読んでいる人なら、未だに高畑容疑者とその母親の話題を何度もテレビで扱う気にはナラナイだろうと思うのだが‥‥
幾ら話題にしやすいとはいえ、被害者が存在して、その人や周辺の人達にとって、テレビで放送するというのは、それを見なかったとしても、テレビ欄ではやっているコトが判るし、週刊誌の広告など、様々な場所で目に入るだろう。
他者に対する慎重な配慮が出来ないというのは、想像力が欠如しているからだと思うけれども、想像力を養うには様々な情報に目を通さなくてはナラナイのだが、そういう地道な努力が忘れられ、タダ、視聴率がといった安易な考え方に流されている様な気がして残念である。