昔は良かったという話をするつもりはナイが、昔は不便だったからこその喜びもある。
例えば、テレビは見逃してしまったら、絶対に二度と見れなかったので、ワクワクしながら放映を待っていた。
電話も鳴った時に取れなかったら、相手と連絡が着かなかったので、本当に真剣だった。
でも、だからこそ誰かと待ち合わせする時は、チャンと会えるのだろうかというドキドキ感があったし、ましてすれ違ってしまわないかという不安な気持ちがあったからこそ、デートなんかはときめきを感じたものだ。
しかし、今となると誰かと待ち合わせするのも、互いに携帯電話を持ってさえいれば、余程のアクシデントが無ければ、簡単に会える。
もしかすると、そうしたコトも婚姻率の低下や、少子化の一因かもしれないという気もしたりする。
ともあれ、今や本も昔と違って簡単に取り寄せるコトが可能になった。
アマゾンでは、注文から1時間以内の配送が可能になった地域もあるというし、それで逆にブラック化が進むのではという声もあるけれど、その制度はとても便利かもしれないけれど、本屋に行って本を探しながら、思わず別の本を探す楽しみとか、読みたい本が見つかって届く時までの高揚感などとは無縁になりそう。
何事も、迅速という、余白の時間を捨て去って、どれだけ馬車馬の様に働かなくてはイケナイ時代になってしまったのだろう。
確かに、物質的には恵まれて来たのだけれど、それ故に失われてしまった何かが、本当は人生の彩りだったのではないかとも思ってしまうのだが‥‥