世の中の景色が、全く違って見えるだろうなと思う、今日この頃。
犯行現場に残されたペトログリフから、色々な推測が生まれて、最後に犯人を特定するというミステリーなのだが、ミステリーよりも日本の歴史をどう捉えるべきかという点に主眼が置かれていて、歴史好きには嬉しい一冊。
チャンと原典に当たらず、騒いでいるのではと思う歴史修正主義者の方々には、是非とも読んで頂きたいかと。
そもそも、日本の正史なるものは、天武天皇と贈り名された人物(天皇という名前も古代は無かったし、漢字二文字で名前を統一しても無かったワケで‥‥)が、日本最古の正史である『日本書紀』を選定するに当たって、既に書かれた歴史書を統一したと書いてあるのだから、正しいかどうかはともかく、それ以前にも歴史書は何冊も書かれているというのは、厳然たる事実。
そもそも、歴史というモノは勝者が書いたモノだけが残るので、書く側にとって都合の悪いコトは抹殺されてしまうし、滅び行く者達がどうなったかは、全く描かれないのが通常だと理解しないとダメ。
加えて、何度か書いたと思うが、今の日本というモノになったのは、明治時代からであって、それ以前は真の中央集権国家では無かった。
それを諸外国からの脅威に対して、一致団結せねばというコトで、明治天皇を現人神として日本国統一のシンボルとして、北は北海道から南は沖縄までの、新生日本が出来たのだというコトを忘れてはイケナイ。
そもそも、大和朝廷の支配地域など、日本全国とは言えない狭い地域だけだし、江戸時代までは地方の有力者が、その地域を支配していて、それをある程度中央で支配しているという程度でしかナイ。
荘園などの私有地は治外法権だったりしてたコトもあるし、国として纏まっていたワケではナイのだ。
ともあれ、群雄割拠の時代なればこそ、小競り合いはあっても、全国規模の大戦はホトンド無かったという利点も有った。
明治に統一国家として、大規模になったからこそ、秀吉以来久し振りの他国への出兵などというコトにもなったワケで。
その結果が、第二次世界大戦の敗退というコトになるワケだが、その時代が良かったなどと、どうして語られのかが、全く不明。
日露戦争での旅順の戦いで二百三高地で、どれだけ日本兵士が亡くなったのか、先の大戦でどれだけ無辜の民が国内で死んだのかを考えれば、大日本帝国憲法の時代が良かったとほど、口が裂けても言えないハズ。
真面目に歴史を検討するコトが出来ず、自分流に解釈して悦に入る人だけが、垂れ流す歪んだ思想など、検討するには程遠い気がするのだけれど‥‥