ノンフィクション作家の短編エッセイ集。
何冊か読んでいるけれど、コレはこれで以前書いた本とは違って、かなりリアルに書かれている部分も多く。
事件から、何年か過ぎたので書けるという部分もあるのかも。
例えば、『世田谷一家殺人事件』は、子供の年齢がホボ一緒だったコトもあり、未だ未解決事件とされているが、この著者の本では、実行犯がホボ確定している。
ノンフィクションでは、その犯人像から絞りこんで行くという部分に重点が置かれているのに対して、この本では、どうして迷宮入りに近くなってしまったのかという部分に焦点が当てられている。
そういう意味では、色々な事件に付いて他の本も読んだが、欠けている部分を知りたいと思う人や、重大事件に興味があるけれど、どの事件を掘り下げたいのか判らないという人には、あらましを解説という感じになるだろう。
ともあれ、世の中が変わって来ているので、背景が変に淡泊になって来ているけれども、そうなるにはそうなるだけのワケがある。
そういう部分を知りたいと思う人には、今後の自分の子育てなどに活かせるかと。
事件になるかならないかという部分では、やっばりどう育てられたかという背景も欠かせない。
気の毒な人が、無関係の人を殺して良いとは限らないけれど、事件が風化する前に、我々ももっと裏側を知って反面教師にすべきでは。