2019年01月24日

黒岩重吾の遺作を読む

なんとなく手にして読んでみたら、著者の最後の作品だったと知り、ちょっとビックリ。


『背徳のメス』で直木賞を受賞した事と、歴史小説を書いてらしたのを何冊か読んだコトがあったけれど、特にあまり意識してなかったので、既に亡くなられて十五年以上とは知らずに居た。

タダ、流石に戦争を潜り抜けて来た方だけに、骨の通った人生相談になっていた。

御歳を考えると、亡くなった母親とは同学年で、父親が情報将校として敗戦を迎えた満州で戦っていた方だと知った。

父親は、前線では戦わなかったらしいので知らなかったが、終戦直後には日露でもかなりの衝突があったのだと判ったが、そもそも、ソビエトとの戦いというか、第二次世界大戦の大変さは、国内ではともかく、国外の場合はあまり報じられてナイので、最後にその辺りを書き残して頂きたかったと、残念でならない。

特に、あまりに衝撃的な話は、誰もがあまり語りたがらないので、戦争の悲惨さは世の中にさほど知られてナイのが、今の改憲へ政府が前のめりになっているのと、繋がっているのではないかと思う。

そもそも、本当に大変な目に遭った人々は、戦争で亡くなられているし、運が在って助かった人も、当時の話はしたがらない。

父からは、戦争の話を結構聞いたけれど、従軍看護婦として上海にも赴いたコトが有る母からは、突然死する少し前になって、東京大空襲で世田谷病院の患者さんを連れて逃げた時は大変だったとか、戦後、GHQに病院での出来事を調べるタメに呼び出されて聞かれたコトがあったとか、全く知らなかった話をチラッとだけ聞いたのだが、もっと詳しく歴史の証人として話を聞けば良かったと思うが、後の祭り。

ともあれ、人間は何が有っても、生き抜かなければナラナイけれど、少なくとも戦争をするコトだけは、とても馬鹿げた話であると書かれていて、やはり九死に一生を得られた方の言葉には重みがある。

プレイボーイ誌で行われた人生相談というコトもあり、かなり砕けた話題も豊富だが、暇が有ったら読んでみて頂きたい。

かなり過酷な経験もした方らしく、世の中の見方もかなり独特なので、色々な意味で興味を魅かれた一冊だった。
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Posted by seitaisikoyuri at 22:06│Comments(0)
 
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