大体、本編の感動をある意味裏切るモノ。
著者の、一作だけでで終わった「風と共に去りぬ」の続編の「スカーレット」(こちらは別人が、管理団体の承認を受けて書いた小説)もそれなりに良かったけれど、小説というのはハッピーエンドで無い方が、心に残るものだったりする。
そういう意味で、こちらも一大ベストセラーとなった小説の続編。
タダ、そんなモノが有るとは、今まで全く知らなかった(と言うか、どうもへそ曲がりなので、ベストセラーと聞くと皆のほとぼりが冷めた頃に、じっくり読んでしっかり見極めたいと思ってしまうので、おそらく知らなかった続編がこの世に出てしばらくした頃に、本編を読んだのだろうと思うのですが‥‥)ので、 終楽章という題名を見てしまえば、手にせずにはいられなかった本。
ともあれ、小説を娯楽と割り切って読むのは、特に硬い本ばかり読んでいると、本当に楽しい。
ブログには、あまり小説の話を書かないけれど、硬い本の数以上に読んではいます。
さもないと、息苦しくなってしまいそうで、肩の力を抜く必要もありますし。
ちなみに、読んだからといって、全てを覚えているワケではありませんが、世の中には自分の知らない事が沢山存在すると知るコトで、世の中の全てを知っているなどと思わず、読めば読むホド謙虚な気持ちになれますし。
ともあれ、上記の本と本編を読み比べてみると、どちらも違った意味で面白い。
タダ、当然ながら本編の感動とは全く違った面白さですが‥‥
そもそも、本編が既に存在しているので、結末は変えられないという中では、かなりユニークな出来ではないかと。
世の中には、ベストセラーと聞くと読みたくなる人も多いので、続編の存在を知らない人も多いのではないかと。
ちなみに、心に残るのはアンハッピーエンドとは思いつつ、心の衛生上にはハッピーエンドの方が好きなので、最初に例に挙げた「スカーレット」も良かったです。(ハッピーエンドであるというコトは覚えていても、詳しいディテールは忘れてしまいましたし、おそらく、上記の本も多少はそうなる可能性があるかも)
それでも、この本の中には1945年という年が、描かれています。
日本でも終戦の年(本当は敗戦の年なのだと思いますが)なのですが、戦った相手側にも特別な年。
そして、どちらにも多くの犠牲者が生まれた戦争というモノに対しての話が出て来ます。
世の中の多くの人々が、戦争というモノを実体験しない世代になり、おそらく知っていたとしても、本当に悲惨な目に遭った人々は、その時に命を失くしてしまうというのが戦争。
生き残った人々は、運が良かっただけなのだというコトを覚えておかないと。
普通の国民が、一番多く戦地に駆り出され、内地に残っても安全性の低い場所に置き去りにされるのが戦争。
世界中を見渡せば、多くの国々で戦乱は続いているものの、新しい憲法が制定されたからこそ、まだ日本では戦後が続いているのだというコトを自覚しなければ、何時再び現実としての戦争が目の前で起こらないとも限りません。
不況になればなるホド、戦争をして大儲けしたいという輩が、世論をリードしないとも限りませんし。
少なくとも、安心して眠れる、今の状態を守るには、変なプロパガンダに踊らされないコトが大事なのだろうと思います。
おそらく、恋愛小説の形をとっていても、戦争への嫌悪感が根底に存在している小説だろうと思うので。