日本の進路は何処で間違ってしまったのかという部分にスポットライトを当てた本。
そのプロローグで、「もし日本にジャーナリズムがなかったら、今もジャーナリズムを作ってはいけない」と、バルザックの「ジャーナリズムは国の進路を誤らせるから、ないに越したことはない」との皮肉を引用して語っている本が、こちら。
日本経済新聞社の記者だった方の証言なので、金融行政の裏側が色々と暴かれている。
日本が、どうして米国由来のバブルになったのか、そして、ハゲタカに国富を盗まれ、そして格差が拡大する様になったのかなどなど‥‥
円高になれば、日本はダメになるとはやし立てていた、マスコミの予想を裏切って、バブルが到来したのは何故かという問いを考えれば、いわゆるアベノミクスによって、経済が復活などという話がまやかしだと理解されるであろう。
そもそも、円高であれば物価も安く、年金生活者も生活は楽になるし、生活が楽なら出費も増えて景気も良くなったかもしれない。
円安になっても、景気が悪くて財布の紐が硬ければ、結局、利を削ってでも物を売らざるを得ない。
輸出企業が多くて、外国人が来やすい大都市などの景気が良くなったとしても、地方の景気が一部の輸出企業を除いて低迷しているのは、そのタメであろう。
輸出企業も親会社だけは儲かるだろうが、下請けなどはそれほど恩恵に浴しているかは微妙だし。
地方に生活していると、アベノミクスで世の中の景気が良くなっているとは到底思えない。
実際に、働く人の手取りが増えているとは思えないからだ。
企業は人を安く安く働かせようとしているので、過労自殺などもあるし、団塊の世代が引退したから、求人が増えているだけで、時給換算したらさほどでもナイ仕事があるだけ。
余裕がナイ若者は、無理な消費をしようとはしないし、あまりに忙しければ消費している暇もナイ。
かなり前に出された、二・三十年前の時代を振り返った本なのだが、今の時代への示唆がタップリ有る。
誰もが、未来は判らずタダ囃し立てているのだというコトも含めて、世の中を冷静に俯瞰して、過去を振り返り、政権の行く先を見つめて、今回の選挙も投票すべきなんだろうという気に改めてなった一冊。
Posted by seitaisikoyuri at
22:48
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