さて、今度は「埼玉・連続少女誘拐殺人事件」の宮崎勤の家族の話です。彼のやったコトの中に、カリバニズム(人喰い)があったコトを、初めて認識しました。そういう話を聞いていたのかもしれませんが、記憶が欠落していました。
ともあれ、一番『そうなんだ‥‥』と思ったのは、彼が家庭内暴力の世代連鎖の終着点だったというコト。
祖父母は、子どもを七人ももうけているにも関わらず、祖父は女子従業員にも出産させ、認知しているという複雑な家庭で、祖父母は口論が絶えず、祖父は祖母を、殴ったり蹴ったりしていたそうだ。
そして、両親は僻地出身で働き者の娘を祖母が気に入って、「ぜひ長男の嫁に……」と話を進めて結婚。長男の勤が産まれた時の様子は、「姑がきびしく、妊娠中も結婚前の勤めをし、家では遠慮して十分な栄養も取れず、未熟児で産まれ、母乳も出なかった。ベタベタ母親が育ててロクな人間にならない様にと、住み込みの三十代の男の職人さんが、ミルクを与え、オムツを換えた。夜だけ抱きしめることができた」という趣旨のコトを母親が語っている。
掌を上に向けて、水平に揃えられないという先天的な障害があったが、積極的な治療もされず、中学では女子にイジメられたらしい。
この頃、PTA活動に熱心な父親は、女性の役員と浮いた噂が絶えず、それが口論になり、両親がケンカして、母親が殴り倒されるという夫婦間暴力の世代間連鎖があった。
可愛がってくれた祖父が死んでから、精神的におかしくなり、両親への暴力や幼児誘拐、そして殺人へと異常行動は悪化していったそうだ。
どんな家庭で育とうと、犯罪に足を踏み入れない人間もいるのだから、それをゆえに宮崎勤の擁護をするつもりはナイが、それにしても、その家庭に生まれたばっかりに、犯罪者へと転落していったと思われる人々の話を読むのは、ツライものだ。
こういう家庭で育ったら、とんでもナイことをしかねない人間になるだろうと思う人が数多く存在するコト、その背景を冷静に分析するコトこそ、本当の犯罪の抑止力になりうるコトなのだろうが、実際は猟奇的な話の方を優先したり、よりセンセーショナリズムに煽るのが、現在の多くのマスコミだ。我々が知るべきことは、このような残虐な事件を起こさざるを得なかった子供をいかに少なくするには、どうすべきかという情報の方だと思うのですが‥‥