朝鮮総連の土地と建物を元公安のトップが「北朝鮮」を助けようとしたなんて、あり得ない話だと思うのに、本人は平然としている。
ついに、モラル崩壊もココまで来たかという感じ。言い分には、多少はもっともらしいコトを述べているが、間違えてはイケナイ。全ての外国の国が、日本に大使館を所有しているワケではナイのだから、北朝鮮だけを特別扱いする必要は全くナイに決まっている。
それだけでナク、日本国に対する負債のカタを横取りしようなんて、正しくそういう考え方をする人間こそが、「非国民」なのに、その人の前歴が政府が考える「非国民」の調査をする仕事のトップだったなんて、お笑い草だ。
しかし、そんな当たり前のコトも、本人やその周囲の人々は全く思わないというコトは、当然ながら、この話には裏があるのだろう。
職務モラルというコトになると、戦争中のコトを考えればヨク判る。精神科医の箒木蓬生著の「逃亡」(新潮社刊)という小説の中に、憲兵としての職業モラルを忠実に守った男が、終戦になって、それがゆえに殺される可能性があり、必死で殺されまいとする様子を書いてあるのだが、その中にこんな文章がある。
国からも天皇からも見捨てられたと、熊谷曹長は言い、大前は本間中将の例を上げて、軍部と天皇から見捨てられたと言った。
事実はそうではなく、国も軍部も天皇も、こちらを眼中に入れてはいなかったというのが正確なのではないか。ひとりひとりの民、兵など、叢の虫けらの如く初めから無視されていたのだ。国の民、天皇の赤子と喧伝され、信じこまされていたが、実体のない掛け声に過ぎなかったのではないか。
おそらく、この考えは現在も生き続けているのだろうと思う。
特攻隊ですら、誰かが作戦に全責任を負っていたなら、誰ひとり思いつかず、口にしなかったに違いない。責任を取らなくていいので、軍上層部が誰からともなく言い出し、旗振りしたのだ。旗を振るときの掛け声は、例の決まり文句、皇国のため、つまり皇と国のためだった。
今の年金問題の一番の原因も、ココにあるのだとワタシは思う。