一昨年九月の北海道母子殺傷事件で、携帯電話の通話記録が残っていたことなどから、事件直後に重要参考人として事情を聴いてた男性が逮捕されたというニュースなど容疑者が犯行については一貫して否認していても、来月始まる裁判員制度を前に逮捕という事件が続く。
昨日の「和歌山カレー事件」で、動機も直接的な証拠もナシで死刑判決が出たコトも踏み切るきっかけになったのかもしれないが‥‥
かの有名な松本清張の代表作で、既に世に出て五十年以上経過している作品で、過去に読んだかどうかも記憶に定かではナイのだが、娘が塾の先生から勧められてかなり古い本を貰って来たので、新たな気持ちで読んでみた。
ストーリーとかは、TVドラマにもなっているので、ある程度は記憶にあったのだが、いよいよ最後のクライマックスで驚いた。
犯人が判って、万事解決したのだと思っていたのだが、そうではナク犯人が自殺と思われる死に方をしたので、状況証拠しか無い事件だが解決をみたというラストだったのだ。
犯人のアリバイ・トリックを丁寧に暴いたモノの、公判の維持が可能だったかどうかと言えば、かなり難しいとさえ、捜査に当たった警察官に言わせているし、いわゆる「とかげのしっぽ切り」によって、官僚が上手く立ち回るという部分は、半世紀経った今でも、全く変わってナイ。
こうした状況を考えると、果たして今年、裁判員制度が始まるというが、本当に気は熟したのだろうかと毎度のコトながら、とても気になる。
様々な小説やドラマなども世間に溢れているので、知恵を付けた犯人と警察の綱引きはもっと大変になるだろう。
検察と弁護士との綱引きが、その反映として熾烈になればなるだけ、より裁定を下すのは難しくなる。他人の人生を左右する様な判決を出したいと思う人ばかりではあるまい。
少なくとも、裁判に対して尻ごみしている人々を無理やり裁判員として引っ張り出すのは、裁判の民主化とは必ずしも言えないのではないかと思うのだが‥‥