結局、中小零細企業が負わされるんでしょうね。
昨日の信濃毎日新聞に、一昨年の二月、大阪府の吹田市で死傷事故を起こしたツアー主催業者が事業を停止し、自己破産を含めて法的手続きを検討しているという記事が載っていた。
スキー人口の減少と、事故による信用低下で資金難になったそうだ。まぁ、ソレだけなら自業自得という気もするのだが、当時話題になったのは、低賃金で運行せざるを得ない新規参入のバス業者。
事故を起こした「あずみの観光バス(現在はダイアモンドバス)」の社長は、無理して働かさせていた息子を事故で亡くした上に、自己破産しそうになっているサン太陽トラベルに運賃の未払いがあり、四月に大阪地裁は約1287万円の支払いを命じて貰ったものの、現在控訴審で争っているのだそうだ。おそらく、裁判で再び勝訴しても、代金は取れず仕舞いになりそうな雲行きだ。
タクシー業界も、減車の方向で行くコトになっているみたいだけれど、バス事業に簡単に参入させる時は、白バスを厳しく締め付けるという方向性を打ち出し、実際に処分された例もあった。
しかし、今や、白バスは野放し状態だし、それを信じてバス業者になった中小零細業者のホトンドは、馬鹿を見たというコトなのかもしれない。
長野から東京への路線バスも、既存のバス業者と新参の業者とで、価格競争をしているが、そうやって互いに儲からなくなっても、既存のバス業者は民事再生法で潰れて、銀行からの借金はチャラ。
結局、その負担は一般の庶民のツケになるだけだ。
振り返ってみれば、タクシーやバス事業の規制緩和というのは、自動車メーカーを潤しただけで、ホトンドの国民はさほど得をしてナイんじゃないだろうか。
多少は、運賃が下がったなどと喜んでいても、例えば日航などが不振になったからと、税金が投入されたりするのだから、トータルで見れば得をした人など、そんなに居ないのではナイかと勘ぐってしまう。
おそらく、今の時点でのコトを前もって知っていたら、新規参入などしなかったというバス業者も多いのだろう。
大手だけは救済されるのが、日本の格差社会の現実だというコトをしみじみと感じる人も多いんじゃないか。
糸瀬茂さんは、早死にしてしまったけれど、
「デパートを税金で救う国」の行く末
この本は、手近に置いてあって、時々、思い出しては読み返すコトがある。金を稼ぐコトよりも、しなくてはならないコトがあると思って金融業界から足を洗い、今、訪れている格差社会に早くから警鐘を鳴らされていた方の卓越した論を読み返す度に、ドコで日本は進路を間違えてしまったのだろうかと改めて思うのだ‥‥