十年近く前の本なのに、今でもそのまま読めるというか、逆にその傾向が増していると思うのが、こちら。
超少子化―危機に立つ日本社会 (集英社新書)
タダ、「日本人の価値観は、将来のために努力するよりも現在を気ままに楽しむ享楽主義になってしまったのだ。国家や自己について大切な価値を問うことを怠った戦後の世代が子どもたちに継承した価値観は、無責任で努力を軽視し、楽なライフスタイルを好む人生観だったのである」と結論付けているのだが、そんな考え方だから、少子化は十年過ぎても解消しないのではないか。
都会はともあれ、地方の独身の方々は、ある意味自分よりも、親の価値観を重視している人達が、とても多い。
歳をすればするほど、老いた親を放って結婚など出来ないと思う、律義な人がかなり居る。
自分が気に入った人よりも、親がどう思うかというコトが先行するので、ナカナカ親も本人も気に入る相手というのが、見つかり難いのだ。
だから、見合いの話が来ても顔を合わせるトコまで、まず行かない。しかも、親みたいに、一目合ったその日から、自分を大事にしてくれる人になど、巡り合うハズもナイのに、ソレを相手に求めてもという人も多い。
しかも、多くの場合、二人で子育てをする環境には全くナイ。子育てをしながら、共働き出来るのは、公務員あたりか自営業者でないと、かなり難しい。中には、子育てに理解のある会社も存在するが、そんな会社などホトンド無いに等しい。
東京で働いていた甥が、給料は安くなったが、去年から長野で働き出した。東京で働いていた時には、ホトンド子供とゆっくり出来なかったが、甥が育児に係わるコトになって、表情が乏しい感じだった子供の顔に手放しの笑い顔がある。二人目の子供も出来て、その赤ん坊もとてもニコヤカに笑う。
もう少し、東京みたいに給料が高くなれば、ソレに越したコトはナイが、少なくとも子供達の笑顔には、ソレに勝るだけの価値がある様に思う。おそらく、子供達の将来にも様々な良い影響が出て来るだろう。
だが、世の中には不景気で子供を産む余裕のナイ若者が結婚を忌避したり、結婚しても産まない選択をせざるを得ない場合も多いハズ。
真剣に少子化を何とかしたいと思うのであれば、仕事と子育てが両立する社会の方をまず整備するべきだと思う。
個人を尊重し、生きていて良かったと思える社会になれば、おのずと子供も産まれるハズだ。
生きているコトが、あまりハッピーと思えなかったら、自分の子供をそんな社会に産もうと思うだろうか
おそらく、少子化を解消する鍵は、その辺にあるんじゃないかと思う。