毎年、毎年、三万人を超える自殺者は何で生まれるのかという背景を追った本なのだが、TVなどでは自殺しましたという一報はニュースとして流しても、滅多にその背景を深くえぐらない。

生活保護を受けさせるとなると、自治体の負担が重いからと、なるべくたらい回ししようとする行政と、かつて警官だった時代に、自殺をくい止めたハズが、そうした行政の怠慢ゆえに、再び別の場所で自殺を決行した人達への追悼の意も込めて、定年後に東尋坊でNPO法人を立ち上げ、クラウン一台分の自腹を切って自殺者を何百人と救っている人とのやりとりが、とても生々しい。
NHKのカメラが回っていても、所持金五三円の人を救おうとしない担当課長。それでも、三時間半ねばって、やっと認めさせるコトに同意させたくだりなど、本当に驚きでイッパイです。
パワー・ハラスメントや過労死の人々に対する話などを読んでいても、本当に気がめいってしまう。書いている著者自身が、「仕事を引き受けたことをこれほど後悔したのは初めて」とまであとがきに綴っているのだから。
国防的には、本当に優柔不断な内閣ではあるけれど、少なくとも厚生労働大臣が変わっただけに、何とかこういう問題を少しでもクリアして欲しいと願わざるを得ない。
学校や自衛隊の隠蔽される自殺に関する部分も、日本には人権など無い場合もかなり存在しているのだと、改めて認識させられる。
他者に優しくなれる社会の方が、他者を陥れる社会よりもズッと良いと思うのだが‥‥