
事実に基づいたフィクションであるという言葉を信じれば、正に驚愕的な話なのだが、少なくとも戦時中に末席の将校だった父と、従軍看護婦だった母を持つ身とすれば、如何にもあり得そうな話という気がする。
軍の上層部は、国民や下級兵士の命など、さほどのモノとは思ってナイ。
おそらく、ほとんどの国の常識なのだろうけれど、そうは思ってナイ人が多い。
父も母も、運が良かったから、戦火から生き延びたがゆえに、ワタシも生きているのだと思っているが、おそらく多くの運が無かった人々は、戦地や日本で散って行ったコトだろう。
戦争を生き延びた人々や、その子孫だけが、この世に生きているのだから、戦争の真実は正しく後世に伝えられるとも思えないが、山本五十六の不思議な死に方を始め、不思議な話は幾つも存在する。
歴史は勝者によって書かれるだけに、真実が歴史となって残るとは限らない。
勝者は、真実の隠蔽を謀るコトもあるからだ。
この本が完璧な真実を書いているかどうかを考えるよりも、実際にこうした残酷な歴史というモノは存在するのだというコトを認識しないで、安易な戦争へと進む道は、多くの国民にとって地獄の道なのだというコトだけは、知っておいた方が良い。
戦争を始めたがる人々は、戦争終了時に案外、戦前よりも多くのモノを手にしている。
そして、その多くは国民の犠牲ゆえに手にするのだから‥‥