本日読んだ本がこちらで、
考えさせられる小説だが、もしかすると、サラリーマンがこうした正義の行動をするのは、今後は難しくなるかもしれない。
というのも、雇用制度改革という名の「正社員のクビ切り自由化」が進もうとしているからだ。
現状で会社が正社員を解雇するには「整理解雇の4要件」を満たさなければならないことになっていて、具体的には(1)人員整理の必要性、(2)解雇回避努力義務、(3)被解雇者選定の合理性、(4)解雇手続きの妥当──がチェックされ、経営者は勝手気ままに従業員をクビにできない。
しかし、政府はこの企業にとっては都合の悪い規制を“改革”して、「一定額の再就職支援金を支払えば解雇ができる」ようにしようという法改正をしようとしている。
新たに「限定正社員」なる雇用区分を設け、限定正社員は、職務、勤務地、労働時間が限定される代わりに給料が安い。
表向きは転勤や長時間労働の心配がない「多様な働き方」のひとつとされ、子育てや介護と両立できるとも謳われているが、企業側の狙いは人件費抑制と解雇自由化の一環にある。
限定正社員は企業にとっては単に「安い正社員」に過ぎないし、職務や勤務地が限定されているので、ある仕事が会社の都合でなくなったり、ある事業所が不採算で閉鎖されることになったら、そこで働いていた限定社員は配置転換など解雇回避の努力をすることなく簡単にクビにできることになる。
無限定正社員は本人が望まない配転や残業をそれこそ“無限定”に受け入れることが求められる。
現在、会社が残業代を払わなくていいのは部長職など上級管理職や研究者などの一部専門職に限定されているが、年収1000万円を超える社員のほか、労働組合との合意で認められた社員全般に広げようしている。いずれも本人の同意が必要という条件がつけられているが、「クビ切り自由化」や「限定正社員制度」などとまとめて導入されるわけだから、社員に選択の余地などない。
無期雇用派遣については常用代替防止の原則(正社員を派遣労働者に置き換えてはいけないという原則)を取っ払って、派遣期間の制限も一切なくすというコトで、いずれの施策も「働き方の多様性」だとか「育児や介護との両立」などのメリットばかり強調されるが、ホワイトカラーエグゼンプションで従来型の正社員から残業代を奪い、「限定社員」化することで、差額の人件費を浮かせ、限定社員の業務の一部を派遣労働者に置き換えてさらに人件費を抑制する。派遣労働者の賃金も買い叩くというサラリーマン奴隷化によって42兆円も企業の負担が軽くなるという。
しかも、国民の生活を一変させるほどの重大事なのにきちんとした議論や手続きを踏まずに進めようとしているのだとか。
となると、上記の本の様な話は、おそらく絶対に生まれては来ないだろう。
流石に、内容を書いては著者に申し訳ナイので省略するが、そうした結果は国民にマスマス負担をもたらすに違いない。
本当に恐ろしい未来が待っているのかもしれないと思うと、背筋が寒くなるばかりである。