子供心に初めてトキメキを抱いたのは、真田幸村ではなかったかと思うホド、いわゆる郷土の英雄なのだけれど、今になると逆に兄の信之の方が、目立たなかったけれども、凄い人だったのではないかという気もしている。
本名が、信繁だったのに、どうして幸村と呼ばれたかというのは、諸説あるだろうが、武田信虎の子で、武田信玄の弟の武田信繁の名にちなんで付けられたと初めて知って、名声が上がるに従って、同名では紛らわしくて仕方がナイというコトなのかなと、こちらの本を読んで思ったりもした。
真田一族の、歴史をコンパクトに紹介してあるので読んでしまうと、これからの大河ドラマの展開が判ってしまうのが難点だが、そもそもあらましは、子供の頃から知っているので、仕方がナイ。
ともあれ、真田幸村が息子共々、負けると判っている勝負に出て、しかも自分の策略に難癖つれられたが故に、負けてしまったというコトまで、知っていただけだったので、逆に兄の信之が、当時としては長寿も長寿九三歳まで、長生きして亡くなったというコトに、感慨が深い。
長野市松代は、真田の六文銭が有名で、加えて太平洋戦争中に仮御所にするべく地下に造営した跡地が地震観測所になっているコトから、子供の頃に遠足で訪れた場所である。
弟の様に、日本人の大部分に名を知られるコトはナクとも、自分の血筋と弟の血筋を今に活かしたというのは、当主として立派というより他は無い。
若い頃は、華やかな幸村ばかりに目が行っていたけれども、歳をすると改めて兄の凄さが理解出来る。
そして、負けると承知の上で散って行った真田三代の儚さと対比してしまう。
ヒーローたるのは、やはり幸村なのだろうが、いぶし銀としてしぶとく生き残った信之の生き様を、我々は見習うべきなのかもしれないと、今の時代だからなのかもしれないが、しみじみ思うのである。