自由は気楽だけれど、孤独は辛すぎるという現代人の心の動きが、秋葉原の事件の背景にあるというのが、こちらの本。
確かに、今は昔と違って家族がバラバラに生活していたり、一人暮らしも多かったり。
それを、自分でキチンと受け止めて生活出来る人も居れば、暴走してしまう人も居る。
ともあれ、この本の中で特筆すべきは、愛も道徳も暴力にむすびつくというコト。
自分が所属する内集団を愛し大切にする度合いが大きいと、それを攻撃した外集団への敵意や暴力は激しくなり、愛と暴力は矛盾せず、道徳的であればあるほど、暴力は過激になりうると。
優生思想に囚われてしまうと、弱者は排除するのが正しいという帰結になり、そういう考え方が仲間内で指示されると、変な方向に暴走するコトも在り得ると。
それにしても、パソコンで爆破予告をされたダケで、庁舎を閉めたりして大騒ぎするというのに、あんなに実行を念入りに企画したいた男性を、ノーマークで行動を止められなかったというのは、本当に不思議な話。
オウム真理教のサリン事件といい、暴走している人を停めるコトが不可能というのでは、今のシステムに不備が存在しているとしか思えない。