太宰作品のファンでも、そうでナイ人でも、思わずラストに唸ってしまいそうなのが、こちら。
ともあれ、太宰は青春時代に掛かる「はしか」みたいなモノとも言えるが、今はあまり本も読む人も減っているので、若者の中には一冊も読んだコトが無いという人も増えているのではないか。
高校時代に太宰の本はあらかた読んだと思っていたが、別名でミステリーを書いていたとは全く知らなかった。
破滅型の代表みたいな作家ではあるが、自分の人生に題材を求めて、小説を書くとなると、そういう方法しかナイのかもしれないが‥‥
それでも、死後忘れられて行く作家が多い中で、今でも太宰人気はあるし、大したモノ。
ミステリーは、どちらかというと日本では純文学よりも下に見られる傾向にあるけれど、それでも緻密な計算に基づいて、練りに練ってある作品というのは、時を超えて読まれるのではないか。
人間は全員失格なんだ。ひとり残らず失格だ。だからこそ、恥の多い人生に悩む必要などない。という著者の言葉には胸を打たれる。
それにしても、世の中には心臓に毛が生えているらしく、恥を恥とも思わない人々が、闊歩する世の中ではあるけれど。