過去を振り返るという行動は、自分だけの場合だとあまり意味が無い。
しかし、世の中の歴史を振り返って、未来を考えるとなると、意味深いモノがあったりする。
室町時代が末期に近付いた頃、やがて来る戦国時代に向けての男達の戦いは、もしかすると未来への提言になったりするのかもしれない。
日本人は大人しいと言われて久しいが、生命の危機に見舞われれば、一揆という行動に出た時代もあった。
いわゆる、今のテロと呼ばれているものと、根底では通じるモノがある。
貧富の差があまりに激しくなり、死が身近になると、破れかぶれになる者達も増えて来る。
時代の変わり目の時には、自らを捨て石にして、次の世代へと繋ぐ架け橋になろうとする者が、出て来るけれど、ホボ最初の人々は挫折して終わる。
それでも、その人々が出て来なければ、時代は変わらない。
何も、武力を持って革命を行う必要もナイけれど、世界でも独立運動というのは、各国で相次いでいる。
少なくとも、日本は周囲の国々から流入して来た人々との混血が、かなり昔から繰り返されていて、多少の相違があったとしても、ホトンどが日本人種という括りになっているが、世界ではもっと複雑。
下剋上前夜という時代背景の中での、成長小説はとても痛快。
「小説家 見て来た様な 嘘を付き」とは言うけれど、時代小説の醍醐味は僅かな実在の歴史という骨組みに、自分で思い描く肉付けを大胆に行うコトが可能。
久々に、心が沸き立つ歴史小説なので、読んで頂きたい一冊。