必然という言葉がある。
そういう意味では、仮説にしては、かなり信憑性がある話。
阪神大震災の深層を追う話なのだが、この本の中で語られている様に、芦屋の住民にはホトンド被害が無かったとか、長田地区の再開発は大震災の御蔭でとても上手く行ったという感じの話は、関西に友人が居るので、実際に聞いたコトはある。
問題は、この本を信じるか否かというよりも、今後も、こうしたあまりに偶然過ぎる大地震が起きるのかどうか。
東日本大震災にも、類似の話は噂として流れてはいるし‥‥
ともあれ、フィクションだとしても、かなり上等なミステリーになっているので、是非とも読んで欲しい一冊。
加えて、今は日本のどの地域でも、大地震が起きても仕方がナイ状態になりつつあるのだから、せめて、我々は非常時に備えての準備も必要かと。
それにしても、こういう本を読む度に、東京電力の儲け主義には、ため息が出る。
経費は、電力の支払う側に持たせてしまうという、あまりにお手盛りの計算式だというのだから、もう少し安全のタメに手を打っていたらと思わずにはいられないからだ。
自己弁護に終始している当時の幹部の裁判の話を聞いていると、当事者意識の気薄さや、責任逃れともいえそうな話をしているコトに、やり切れなさを感じる。
おそらく、直接の被害者ならなおさらだろう。
世の中には、踏み付けられる弱者と踏み付けても平気な強者が存在するコトを、強く意識する本である。