データというのは、自分が思う通りに出るとは限らないけれど、だからこそ、それが何故なのかというコトを付き詰めるべきではないかと考える。
そういう意味で、必ずしもデータが出されているからといって、解釈が正しいかどうかは判らないという典型的な本がこちら。
10年ほど前の本なので、ある意味この指摘が正しいか否かというコトは、ある程度確認出来るのではないかと思う。
ともあれ、言っているコトは正しい部分と、そうでナイ部分が混在していると思う。
特に問題だと思うのは、「外車販売台数で地域格差を見ることができるか」という章。
著者自身で、人口当たりの外車の数や、車に占める外車の比率で判断すべきという意見があるかもしれないが、と断っているのだけど‥‥
東京と他の他府県などては、圧倒的に人口が違い過ぎてしまう上に、都市部では公共交通機関が発達していたり、地方では必ずしも金持ちが外車を買うとは限らないコトを知っているからである。(全てではナイけれども、本当の金持ちほど見栄を張らないという場合も存在するし、蔭口を叩かれないタメに買わないという人も存在する)
ともあれ、「子育てのコスト=あきらめなければならない所得」という説と、「官民格差は地域に何をもたらしたのか」という説の結果として、地方の公務員同士の結婚というパターンが、子育てのタメに離職するコトも無く、この本の10年後の結論として、最強パターンとして選ばれているケースが多いのではないかという推測は可能。
なので、全否定するつもりはナイのだが、少なくとも著者はあまり重視してナイ、非正規雇用になって、収入が不安定な男性が特に結婚が難しくなってしまっての、少子化というのが日本の問題を大きくしている可能性が高い。
少子化であったとしても、日本がダメになるとは限らないけれども、ワーキング・プアとまでは行かなくとも、結婚して子供を持つだけのゆとりがナイ男性や、非正規であれば出産時の収入の減少という問題もあるので、男女共に非正規では、子供を育てるというのは大変であろう。
ラストに、女性は離婚すると経済的には苦しくなるけれど、支出の満足度は上がるというのも、離婚したいと思うだけの相手と別れるにはそれだけの理由が、当然、存在するワケで。
どうも、著者の考え方には、何となく納得出来ない部分がかなり有る。
「データ」というモノは、恣意的に判断しようとすれば可能なのだというコトを証明している部分も多いのだけれど、その上「データの改竄」まで今の政府が、指示しないまでも忖度を願っていたとするのであれば、この先の日本経済は不透明感が増すだけ。
結局、非正規が増えたりして、年収の少ない人が増えれば、一時的に大会社の決算は好転するかもしれないけれど、結果的に自社製品を買えない人々が増大してしまうので、自分の首を自分で締めているのと同じなのだというコトを、証明してみせたこの10年なのかもしれないと思う。