昔の日本には、会社の繁栄と国の繁栄をリンクさせ、国民の生活を豊かにすることが会社の社会的使命と考える様な経営者も存在していた。
タダ、最近は「今だけ自分だけ」という意識で、会社経営をする社長が増加しているのではないかという警告の書。
経営者は、まず、コスト削減のために、地方の補助金などを狙って人件費の安い地方へ生産拠点を移したが、それでもダメだとなると、さらなるコスト削減をしようと、今度は海外へ進出した。
地方の労働者は正規職を失い、再雇用の場もかなりの低賃金でしか無く、それすらあぶれてしまった人は、時給制の非正規雇用になるしか道は残されて無かった。
結果として、収入が少ない人が増加して、地方経済の疲弊が進んでいる。
本社は東京にあり、黒字になれば東京に税金を納めるので、都会と地方の二極化が進んでいる。
地方では、職に就けなくても、都会には色々な求人があるので、都会へと若者が就職し、経済だけでは無く、人材の流失も激しい。
都会のレストランに息子さんが勤めてらっしゃる方から聞くのは、都会と地方の驚きの消費額の違いだったりする。
『プラチナタウン』、『和僑』、と来て、『国士』に続く、シリーズ本。
処女作の『Cの福音』から続くミステリアスな小説の方が、面白さから言ったら上なのだが、その手の本は爽快感だけで終わりがち。
コンビニの奴隷契約などについても触れられている。
詳しい話は、読んで頂くとして、どうすれば日本という国の再生が可能になるかという気のナイ経営者がこの国に増える限り、日本には未来はナイのではないかとすら感じてしまうのだけれど‥‥