本当に大変なのだと、読んでいて頭が下がる思いがする本。
それでも、成功したので良かったけれど、世の中にはどんなに研究しても成果が出ないという方もいらっしゃるのだろう。
予想された事と、現実が違うというコトは、幾らでもありそうだし‥‥
ともあれ、こういう地道な研究が形に成りそうなのに、京都大学iPS細胞研究所を訪れ、山中伸弥所長と面会して、医療用のiPS細胞を備蓄する「iPS細胞ストックプロジェクト」に関して、「『来年からストック事業に国費は出しません』と、和泉洋人首相補佐官と大坪寛子厚労省大臣官房審議官が述べたという報道には、本当に驚いた。
しかも、〈「20年度から支援をゼロにする」と伝えた事実は無い〉とする報告書を理事会に提出。その後、委員会でもその旨を答弁した。山中氏の説明とは食い違う国会答弁だったというので、二度、ビックリした。
努力して、努力して、難病の人々を救いたいと頑張っているのは、山中さんだけで無く、その研究を支えている多くの若き研究者。
その人々の努力を無にしかねない話をしたのに、叩かれたら平気で嘘を国会で述べるというのだから、開いた口が塞がらない。
決して、手柄を自分だけのモノとせず、手伝ってくれた多くの若き研究者を称える山中さんと、正に月とスッポン。
こういう輩が官僚として存在するから、日本の国際的地位は低下傾向にあるのだと、実感してしまった。
基礎研究は地道だけれど、資源が少なく国土も狭い日本が、今迄何とかやって来たのは、山中さんの様な研究肌の人々が、分野分野で努力していたからではないか。
今後も、世界の国々と競り合って行く為には、より一層の努力が必要なのだと痛感した一冊。